赤木明登×雄勝硯生産販売協同組合×fresco×KURO AMAHARE
Integration of different materials
Integration of different materials
皆さまの食卓に、「黒」のうつわが並ぶことはありますか?
「よく使います」という方もいれば、「食卓が暗くなりそうで持っていない」という方もいらっしゃるかもしれません。
そういった印象をお持ちの方に是非読んでいただきたいのが本コラム
「Integration of different materials=異素材の融合」。
使いづらいと思われがちな「黒」のうつわですが、異素材同士を組み合わせることで食卓がスタイリッシュな印象となり、黒を背景にすると食材の彩りもよく映えます。
今回、「KURO」をコンセプトに展開する「KURO AMAHARE」は漆・硯石・ガラスといった3つの異素材の「黒」に注目。
スタイリングをフードスタイリストの竹中紘子さん、写真をフォトグラファーの柳詰有香さんにご協力いただき、「春」をテーマに華やかなスタイリングに仕上げました。
黒いうつわのスタイリングのポイントやその魅力を雨晴スタッフの三谷がお届けいたします。
集いの場面や、普段使いにもお勧めの「KURO」のうつわと共に過ごす愉しい時間を想像しながらご一読頂ければ幸いです。
KUROのキャンバス
今回、KUROのうつわでスタイリングするなか、特に印象的だったのは
「(黒いうつわは)黒いキャンバス」という竹中さんの言葉。
「黒」というと、主張が強くどこか重たい印象があるもの。
しかし、うつわという背景になった「黒」は、食材本来の色や形をはっきりと見せてくれるのです。
筍の柔らかな黄色や、さくっとした食感が思い浮かぶようなタラの芽の天ぷら。
フキの透き通るような緑と、スッと伸びる細かな筋まで。
こうして見てみると、食材の色や特徴をより鮮やかに感じられる気がします。
「黒は重たくなる」というイメージから一歩踏み出して、さまざまな料理をよそってみてください。
きっと、食材の表情がよく映える、華やかな食卓になるはずです。
そしてその料理も、何を作ろうかとあれこれ悩まずとも大丈夫。
「あまり頑張らなくていい。旬の素材をシンプルな味付けで楽しんで」
と、竹中さんからの心が軽くなるようなアドバイスをお裾分けいたします。
ぜひ皆さんも、肩の力を抜いて、黒いキャンバスに季節をよそってみてくださいね。
異素材はKUROで愉しむ
異素材を組み合わせたスタイリングをしてみましょう、といざ言われると、
「どんなものが合うの?」「やってはいけない組み合わせはある?」となんだかんだそのルールが気になってしまうもの。
(私は密かに、とーっても気になっておりました。)
しかし、これは雨晴主人の言葉ですが、
「異素材同士の組み合わせに特にNGはない。なるべく違う素材を使ったほうが食卓は愉しくなるし、お互いが引き立ちやすい」と。
今回の「KURO」の作品も、ガラスや漆、硯石とさまざまな表情がありますが、とても綺麗にまとまっていますよね。
その理由はごくシンプルで、色を「黒」に統一しているからです。
「異素材同士の組み合わせにNGはない」とお伝えしましたが、色が違うことでまとまらなかったり、同系色なのになぜか素材が合わなかったりと、「異素材を組み合わせる」と一口に言っても実際は難しいもの。
しかし、そのなかでも黒いうつわは異素材同士も上手く調和してくれる、実は一番使いやすい色なのです。
「異素材を組み合わせたスタイリングを愉しみたい」という方は、まずは黒いうつわで挑戦してみてください。
きっと、統一感のある素敵なスタイリングに仕上がります。
いつもの食卓と雰囲気を変えたいときや、お洒落支度で食卓を愉しみたいときなど、ぜひ「KURO」の作品たちを参考にしてみてくださいね。
KUROの漆 〈赤木明登〉
それでは最後に、今回のスタイリングを彩る「KURO」の作品たちを一つずつご紹介していきますね。
まずは、漆器。モダンな佇まいが魅力の赤木さんの古銀。
一見漆だとは気づかないようなデザインですが、手触りはしっとりと滑らかで、漆の繊細さをたしかに感じられます。
また、漆器でありながら金属のカトラリーを使用しても傷がつきにくい、というところも魅力の作品。
「お菓子も良いし、フィナンシェを出しても良い。お肉や天ぷらをのせても良いし、特に概念にこだわらず使うのが良いと思います」と、竹中さん。
「漆器は特別な時に。よそう料理も和食だけ」という方もいらっしゃるかもしれませんが、和洋も問わない優れもの。
漆器こそ、実は毎日使っていただきたいうつわなのです。
漆は乾燥に弱いので、使う・洗う・乾かす、といった日常使いが一番のお手入れ。
他のうつわに比べとても軽いところも、お勧めしたくなるポイントです。
ぜひ、日々の食卓のレギュラー選手としてたくさん使ってみてください。
立体的で重厚感のある姿がとても印象的な「石丸皿」。もともとレストランで使うために制作されたこちらの作品。
余白を活かし、一品一品をしっかり見せたいときにおすすめです。
竹中さん曰く、「ホールケーキやパウンドケーキをのせてもかわいい」とのこと。
金箔を用いて表現した黄金色の筋が美しい「ディナー皿」。汁気のある炒め物やパスタをよそうも良し。一口サイズの料理を点在させてよそうも良し。使い勝手抜群の作品です。
KUROの硯石 <雄勝硯生産販売協同組合>
「日本人女性の黒髪のように美しい」といわれるほど、艶やかな黒色が印象的な雄勝石のプレート。
「KURO」で展開している「雄勝硯石プレート AME」は、雨晴オリジナルの作品です。
雨が降り、灰色から漆黒へと色変わりした石の肌を表現しているのが特徴。
表面にはしっかりと石の割肌が見られます。
自然が生み出した静けさと荒々しさを併せ持つこの表情に心が奪われます。
「この美しさを活かさずしてどう使う?」ということで、この作品はうつわの肌を見せるスタイリングがベスト。
シンプルな料理もぐっと映えて見えるので、「盛り付けが苦手」という方にもおすすめのうつわです。
サイズ展開は、3寸角・5寸角・7寸角・8寸角・9寸角・長角の6種類。
香の物からサラダなどの副菜、そしてメイン料理にデザートまで、コーディネートのポジションは選ばない万能なシリーズです。
KUROのガラス <fresco>
硯石同様、frescoさんの「kasumi bowl/plate KURO」「HIBIKI KURO」も、雨晴オリジナル。
「KURO」のために特別に調合していただいた「黒」の色味を使用した、まさに唯一無二の表情を見せるうつわです。
frescoさんのkasumiは、名前の通り「霞」という自然現象を表現した作品。
霞は、空気中の水蒸気や粒子が細かな水滴となって、白い煙のように現れる現象のこと。
そしてその白んだ大気を目にすることで、見えない空気の在り処を知る。
そうした現象を愛でてきた日本人の自然観を秘めているのが、frescoさんのkasumiです。
サイズ展開は、bowl/plateともにSS・S・Mの3種類。HIBIKIはS・Mの2種類をラインナップ。
用途に合わせお好きなサイズをお選びいただける、日常使いにぴったりなうつわです。
「kasumi bowl SS」。
ガラスのうつわに合う食材を問うと、「透明感のあるもの」と竹中さん。たとえば魚ひとつでも、赤身より白身のものを選ぶのが良いのだそう。ガラス特有の冷たい美しさと、食材の透明感が調和し、清涼感あるスタイリングが叶います。
音の「響き」をガラスで表現した佇まいが美しい「HIBIKI」。デザインを見せる料理のよそい方をすることで、余白が生まれ食卓に上品な印象を与えます。
KUROを日常に
上品で洗練されたコーディネートを叶える「KURO」の異素材スタイリング、いかがでしたでしょうか。
「黒は暗い」というイメージも、たしかな感覚だと思います。
ですが、「黒は食卓を豊かにしてくれる」という魅力的な一面があることも、このコラムを通してお伝えできたのであれば幸いです。
雨晴の「KURO」では、今回ご紹介した作品以外にも、素敵な「黒」のうつわたちをご用意しております。
もともと「黒」のうつわが好きな方はもちろん、「スタイリングの中に取り入れてみたい」と少しでも興味が湧いた方は、ぜひぜひお試しくださいませ。
皆さまが毎日囲う食卓が、より愉しいものとなりますことを心より願っております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Photo / Yuka Yanazume
Styling / Hiroko Takenaka
Text / Maiko Mitani (AMAHARE)