寺田鉄平 × 雨晴 「KUROgane」
黒
そう聞いてイメージする「黒」はどんな黒でしょうか。
艶やかな黒、マットな黒、青みがかった黒…。
陶器やガラス、漆器など、素材ごとにも表現される黒が違ってきます。
雨晴が展開するブランドの一つ「KURO」。
黒という色に拘りをもつ作り手に直接伺いながら一緒に選定したもの。
KUROのために一から考え制作していただいたもの。
KUROのために色を新たに調合していただいたもの。
様々な「黒」にスポットをあて、展開している「KURO」のラインナップから、
今回は寺田鉄平さんと雨晴によるコラボレイト作品「KUROgane」をご紹介いたします。
ご一読いただければ幸いです。
寺田鉄平さん
「土の表情が好き」
愛知県瀬戸で130年余り続く美山陶房の5代目として作陶されている寺田鉄平さん。
黒という色に古くから向き合ってきた環境に生まれ育った鉄平さんが、土の表情がしっかりと見えるものをと考え作られたのがこちらの炭化焼成された花器です。
真っ黒だったり、炭化しなかった部分が白やグレーになってあらわれていたり。
焼成時に割れがあった場合はご本人が金継したり。
佇まいの美しい炭化の花器に映し出される黒の世界に魅了され、
鉄平さんにコラボレイトをお願いすることにしました。
鉄平さんが名付けてくださった「KUROgane」には二つの意味があります。
一つ目は作品の特徴である黒の釉薬と金の縁を組み合わせた「黒金」
雨晴がある「白金」の対義語としての意味を持っています。
もう一つは鉄を意味する「くろがね(鉄)」。
こちらは鉄平さんのお名前の一字「鉄」に由来します。
鉄平さんと雨晴のコラボレイト作品であることを象徴するこの名を私たちもとても気にいっています。
細部へのこだわり
手仕事ならではの温かみを感じつつも、モダンで華やかさのあるKUROgane。
いまの形になるまでには、いろんな課題をクリアする必要がありました。
このマットな質感もその一つ。
炭化に近いものをもとめて一から見直した釉薬ですが、光沢がでてしまったり、質感が今一つだったり。
さらには完成したうつわを使ってみて感じたこともあったそうです。
それはうつわを洗っているときに感じたスポンジの引っ掛かり具合…。
鉄平さんにとっては心地よくない状態だったとか。
試行錯誤しながら完成した作品は表面を磨くことで引っ掛かりが軽減されています。
このエピソードを伺って見た目だけではなく、使い勝手もとことん考えている鉄平さんのこだわりを感じられた気がします。
主張しすぎることなく、お料理を引き立たせるように施された金彩の縁。
縁も太すぎると華やかすぎたり、細すぎると目立たなくなってしまったり。
鉄平さんが細部にまで心を配りながら作られているKUROganeは、
和洋問わずどんなお料理もより美しく演出してくれます。
何を盛り付けようかとワクワクさせてくれるこのうつわ。
きっと毎日の食卓に欠かせないものとなるはずです。
KUROgane OVAL PLATE WITH RIM 300
鉄平さん一番おすすめのオーバルプレート。
白金台雨晴でもお客様が手に取っている姿をよく拝見します。
お酒のお供にぴったりなフィンガーフードを装うのに最適な大きさが気に入っていただけているポイントだと思います。
シンプルな料理も、装うだけで上品な印象に。
KUROgane BOWL 240
バリエーションが豊富なBOWLのシリーズ。
料理を盛り付けるときに大切な要素となる余白を意識して制作されたBOWL240は、中心に装うだけで自然と余白が生まれ、料理を引き立たせてくれます。
一人分はもちろん、ご家族分のお料理を装うためのうつわとしても。
幅広い用途で活躍してくれるでしょう。
使ってこそのうつわ
改めて鉄平さんのお話を伺っていると、使い手のことを真摯に考えていらっしゃるなあというのが印象的でした。
使いやすい大きさなのか。
収納時にスタッキングできるのか、食器棚への収まり方はどうなのか。
日常でどんな風に使うかをイメージしながら作陶される鉄平さんのうつわは、私たちの暮らしに寄り添ってくれている気がします。
KUROgane PLATE WITH RIM
用途にあわせて選びやすいようにリム皿は3つのサイズをご用意しております。
今回サラダを取り分けるうつわに使用したのはリム210。
少し大きめですが、ボリュームあるお料理の取皿としておすすめです。
リム180は小さめの取皿やデザートを装ううつわとして。
一番大きなリム270はメイン料理に。
様々なシーンで活躍してくれること間違いなしです。
KUROgane CUP
こちらはフリーカップとして。
鉄平さんにおすすめいただいたアイスクリームを装ってみました。
蕎麦猪口や酒器、和え物を盛り付ける小鉢としてもおすすめです。
黒金が生み出す、ささやかな華やかさ
形、素材、様々なうつわが並ぶ食卓。
相性を意識せずすっと馴染むことは、日常の食卓に大切な要素の一つであると思います。
食卓の主役となるような華やかさをもつ「金」
他の器と組み合わせると互いの相乗効果を引き出す名わき役の「黒」。
2つの側面をもつKUROganeは食材の彩りが映え、他のうつわとも相性よく、どんな場面でも馴染んでくれるうつわです。
みなさまにもお試しいただければ幸いです。
photo(2枚目)/ Yuichiro Ohmura