村上雄一 × 雨晴/AMAHARE
「白の余韻」

理想の「白」を見つけるまでに気の遠くなるほどの数の白を焼き続けた「陶芸家」村上雄一さん。
目指した白とは色のことではなく、「お茶に寄り添い、その味の心地よい余韻を引き出す」ための白。
白金台に満を持して登場する「芳韻」をみなさまと一緒に愉しむ展覧会「白の余韻」を開催いたします。
芳韻の茶器やうつわの他、湖水、雨晴のために制作して頂いた「六角ノ茶器」などもラインナップ。
11月14日(金)、15日(土)には茶、酒、水の味の違いを体感して頂く「芳韻の会」を村上さんの解説付きで開催いたします。
展覧会、イベント共にご予約不要となります。
皆様の御来店を心よりお待ち申し上げております。
◇会期
2025年11月14日(金) - 11月24日(月・祝)
※会期中の休業日 毎週水曜日
営業時間 13:00~18:00
◇作家在廊予定日
11月14日(金)、15(土)
◇場所
雨晴/AMAHARE @amahare_shirokanedai
東京都港区白金台5-5-2
TEL : 03-3280-0766
E-mail : info@amahare.jp
◇来店予約
本展はご予約不要となりますのでご都合の良い時間に是非お越しください。
Photo / Eri Masuda @massu_90
Text / Kenichi Kaneko(AMAHARE) @amahare_kaneko
水の味が変わる
「うつわで水の味が変わる。しかも磁器で」
そう聞いて、みなさんはその味の変化を想像できるでしょうか。
2年前に白金台で開催した村上さんの展覧会でのこと。
あるお客様が「村上さんの茶杯に水をいれて飲み比べをしたい」とおっしゃいました。
味が変わる杯とそうでない杯あるとのことで、その違いを見極めながら選びたいとのこと。
半信半疑で見守っていた雨晴一同でしたが、その方が味比べをしながら「合格した茶杯」をピックアップしていく様子を目の当たりにすると「おお!そんなことがあるのか!」と驚きを隠せませんでした。
99%吸水しないと言われる磁器が味に作用するとは。
村上さんにとっても衝撃的な出来事だったようで、この経験をきっかけに「もっとお茶に寄り添う茶器をつくりたい!」と決意します。
それ以来、茶器の作品の制作を一時封印し、自分の納得が行く釉薬を探し求めて研究に没頭する日々が始まるのでした。
余韻を愉しむ
磁器のうつわでも、形が変わると味の感じ方が異なるというのは以前より言われていること。
(ワイングラスもかたちが変わると味の感じ方が変わると言われていますね)
村上さんが挑んだのは「磁器の釉薬がどのように味に作用するか」という研究です。
目指したのはお茶の「余韻を愉しめる」うつわ。
なぜ、余韻が大切なのか。
それについては、11月14日(金)、15日(土)に開催する「芳韻の会」で実体験して頂くと
おわかり頂けると思います。
ご予約不要となりますのでご来店の際に是非お声がけください。
味の変化は体調の変化
「ようやく納得のいく釉薬ができました。是非試しにアトリエまでいらしてください」
あの展覧会から約1年経ったある日、村上さんから連絡がありました。
急ぎ向かったのは岐阜県土岐市にある村上さんのアトリエ。
テーブルの上には、想像よりも少しクリームがかった磁器の茶器が並んでいました。
「元々、中国茶は毎日飲む薬のようなもの。同じお茶を飲み続けることで、味の変化から自分の体調の変化にも気づけるんです。余韻を感じられる方が何煎も愉しめるので、そう作用する茶器を目指しました」と村上さん。
そう、この茶器こそが白金台では本展で初披露となる村上さんの新作「芳韻」です。
村上さんの解説に耳を傾けながら、「これまでの磁器」と「芳韻」で同じお茶の味を比べてみると、「これまでの磁器」では最初の香りや味にしっかりとしたインパクトがあり、その美味しさに感動する一方、何煎も飲み続けるには少し重たい印象がありました。
「芳韻」で飲むと、最初のインパクトこそ控えめですが、何煎でも飲みたくなるような滋味深い味わいが静かに続いていきました。
「釉薬によって、これほどまでに味が変わるとは!」
これこそが、村上さんが実現したかった「お茶に寄り添う余韻」なのだと気づき、思わず感動したことを今でも覚えています。
No Tea, No Life
村上さんが、手書きのメモと共に「これまでの磁器」と「芳韻」の違いを丁寧に教えてくださいました。
【これまでの磁器】
台湾烏龍茶、紅茶や煎茶のように、香り豊かで初めからその印象を愉しみたいお茶に向いている。
【芳韻】
中国茶の茶葉が本来持つ味を余韻も含めて何煎飲んでも愉しめるうつわ。
つまり、「これまでの磁器」がお茶に向いていないのではなく、
茶葉やその時の気分によって、「これまでの磁器」と「芳韻」を使い分けてみてはいかがでしょうか。
というのが村上さんの提案だったのです。
お茶といっても様々なお茶があり、その愉しみ方も人それぞれ。
村上さんが掲げる「No Tea, No Life」の精神がここにも感じられますね。
白の余韻
本展では、村上さんがまさに命がけで生み出した「芳韻」をはじめとした白いうつわを中心に、
こんなにかわいい「アスパラガスのカトラリーレスト」や「湖水のうつわ」、
そして雨晴のために制作して頂いた「六角ノ茶器」など、様々な作品が並びます。
11月14日(金)、15日(土)に開催する「芳韻の会」にもお誘いあわせの上、是非ご参加ください。
みなさまの反応が今からとても楽しみです!
村上さんと共に、みなさまの御来店をお待ち申し上げております!
