新茶の季節、いまこそ見つめ直したい 「私に合った良い急須」。

あなたの、わたしの、良い急須。

年度が替わり、環境の変化を迎えた方も多い春。
穏やかな日和とは裏腹に、慌ただしい日々には心の豊かさが恋しくなることもしばしば。
そんな時には、お茶を飲みながらほっと一息つきたいものですよね。

さて、そんな春は私たちだけなく、日本人の毎日に欠かせない緑茶にも巡ってきました。
年に一度の旬の恵み、「新茶」の季節です。

本コラムでは、4月から5月に旬を迎える新茶におすすめの急須を雨晴スタッフの三谷がご紹介いたします。

一言でお茶と言っても、煎茶など緑茶を中心に飲む方もいれば、紅茶やほうじ茶が好きな方もいらっしゃいますよね。

「よい急須選び」のポイントは、ずばり好みの茶葉の種類にあった急須を選ぶこと。

今回は、急須の一大産地として名高い愛知県常滑市の「北龍」の丸急須と、南部鉄器の産地岩手県水沢地区の「空間鋳造」の鉄急須をご紹介。

どちらも、お伝えしたい魅力がたくさんあって(私が)うずうずしてしまうような素敵な作品ですので、ぜひ「私に合うのはこの急須かな」と思い浮かべながら、ご一読いただければ幸いです。

北龍 雨晴―煎茶― 茶葉が躍る〈北龍〉の丸急須

新茶をはじめ、煎茶を美味しくいれたいという方にまずおすすめしたいのが、北龍の丸急須。

細部まで均整のとれた滑らかなフォルムはとても美しく、日本人に馴染み深いデザインが目を惹きます。

また、フォルムの美しさはさることながら、お伝えしたいのはその使いやすさです。

北龍 丸急須 雨晴

握ったときの持ち手の手馴染みの良さや、手首の返しやすさ。
注いだときのお茶の切れ具合など、お茶を注ぐ過程の所作も綺麗に決まるのが北龍の急須です。

また、丸型の急須は「茶葉がジャンピングする」という魅力があります。
ジャンピングとは、急須の中で茶葉が対流し、お茶の味や香りをしっかりと引き出してくれること。

新茶のさわやかな香りも、ぎゅっと詰まった旨味も、しっかりと味わうことができるのがこの急須をおすすめしたい理由です。

さらに、高温で淹れるほうじ茶や紅茶も、熱対流によってジャンピングが起きやすくなるので実はおすすめ。

煎茶をメインに、でも他のお茶も好きだという方はぜひ北龍の丸急須をチェックしてみてくださいね。

≫北龍の作品はこちらから

 

空間鋳造 鉄急須―紅茶・ほうじ茶― 香り立つ〈空間鋳造〉の鉄急須

鉄急須で紅茶?
と、意外な組み合わせだと驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、80度以上の高温のお湯で香りをぐっと引き出す紅茶やほうじ茶には、保温力の高い「鉄」素材の空間鋳造の鉄急須がとてもおすすめです。

特に紅茶は、フランスなどヨーロッパでは、日本の鉄急須を使って紅茶を提供するお店があるほど注目度も高く、南部鉄器という伝統を受け継ぎつつもモダンさを感じるデザインは現代の空間にもよく合います。

急須の内側はホーロー加工もされていて、錆びにくい仕様。
(蓋の裏側や蓋との合わせ目は錆びやすいので、しっかりと水分を拭き取ってください。なお、錆びたとしても健康に害はありませんので、経年変化としてお愉しみいただければ幸いです。)

≫空間鋳造の作品はこちらから

空間鋳造 鉄急須

また、鉄急須の茶漉しは取り外しも可能。
以下のような使い方をしてみるのもおすすめです。

 1.―紅茶やほうじ茶の香りを引き立たせる―

茶漉しを外してお茶をいれ、手持ちタイプの茶漉しを使って注ぐと、香りがより引き立ちます。

 2.―お酒やお出汁をいれて特別な食空間に―

お茶漬け用のお出汁をいれたり、日本酒などをいれて酒器として使ったり。
特に、月のように丸く平たいMoonの急須は、お正月などのハレの日の酒器としてもぴったりです。

空間鋳造 鉄瓶

そして、鉄急須とともにご紹介したいのが空間鋳造の鉄瓶。

お茶をいれるためのものが「鉄急須」であるのに対し、お湯を沸かすためにあるのが「鉄瓶」です。

鉄瓶は、鉄急須と違って「直火/IHにかけられる」「ホーロー加工がなされていない」という特徴があります。

「ホーロー加工がないと錆が心配」という方もいらっしゃるかもしれませんが、お湯を沸かしたあとすぐにポットなどにお湯を移し、余熱でしっかりと乾かすことで錆を防げます。
(こちらも鉄急須同様、蓋の裏側や蓋との合わせ目、注ぎ口は錆びる場合がありますが、健康に害はありません。)

また、使えば使うほど、鉄瓶で沸かすお湯はまろやかな味わいになり、鉄分を摂取することも可能です。

鉄瓶で沸かしたお湯で、鉄急須にお茶をいれて飲む。
お茶を味わう工程を一から愉しめるところが、空間鋳造のラインナップの素敵なところ。

鉄瓶・鉄急須ともに、それぞれかたちやデザインも豊富ですので、お好みのものをお選びください。

新茶の季節 雨晴好きなものは、好きなもので。

煎茶におすすめの北龍の丸急須と、紅茶におすすめの空間鋳造の鉄急須。
皆さまいかがでしたでしょうか。

今回は2作品の紹介となりましたが、雨晴にあるほかの急須はもちろん、皆さまのご家庭にある急須もきっと「合うお茶」があると思います。

お茶を飲む、というのは日常の何気ない時間かもしれませんが、その時間が「好きなものを好きなもので味わう時間」であれば嬉しく思います。

ぜひ、皆さま自身の「私に合った良い急須」を見つけてみてくださいね。

  

Text / Maiko Mitani(AMAHARE)
Photo / Yumiko Obara(AMAHARE)